いた。

可愛い。

ふわほわしてた。

同じメンフクロウでも顔がちょっと違うんだけど、田中はすきな顔してた。田中いい。

「ねぇ。たなかぁ～。可愛いね。」

って喋りかけたら、ぼーっとしてた。

お姉さんが田中のことを色々教えてくれた。

マイペースなこと、苦手なものがあること、ゴミ箱にハマって出られなくなるぐらいまぬけなこと、フクロウのくせに飛ぶのヘタクソなこと、着地もへたくそなこと、田中の水浴びはびちゃびちゃになること、おっちょこちょいなこと、でもおもしろいし可愛いこと。

いろいろ教わった。

親近感がわいた。オレみてぇじゃねぇか。

もうフクロウになれた気がしたよ。

田中がフクロウでやってけてるなら

俺もフクロウでいいだろと思った。

ちょっとだけ嬉しくなった。

オレはかなり弱い。すぐ心が折れる。

すぐ腐るし怠惰と過去に襲われて情緒不安定になるくせ傲慢で尖ってる。調子乗りでイキる。落ちて頭がおかしくなりそうになる。

そういうどうかしてる時にフクロウと出会ってしまったので完全に依存している。

フクロウの前だと素直でいられるし

試されてるような気分にもなる。

毎回答えを教えてくれて精神が安定する。

いいことないやと言いながら何かを作れる。

フクロウがいないと不安になってくるので

視界に入るありとあらゆるものをフクロウにしている。フクロウまみれ。

フクロウすきだな。

フクロウみたいになりたいな。

っていつも思ってる。

いろいろあって田中がびしょ濡れになったので乾くまでネコを触っていた。

ネコを触りながらお店のPOPを眺めていたら

「田中は自由」って書いてた。

あー、田中って自由なんだー。と思った。

オレももうちょい自由でいようと思った。

愛知にきて迷うことがたくさんあったり、いままでのリズムが変わったり、全く気にしてなかったことを気にしたりと少しずつ自分が変わってきた気がしてて不安だったんだけど、もうちょい自由でいいやーと思った。

別にみんなを嫌いになった訳ではないし、オレが面白くなくなった訳ではない。

ちょっと変わっただけ。

田中は自由。

いいじゃない。

田中みたいなフクロウになろうと思った。

大正区にいるホーちゃんみたいなフクロウや爆睡したマシュウみたいなフクロウにも憧れたけど田中がいちばん近くてすきだ。田中可愛い。名前一緒だし。いいな。

また田中に会いたいなって思った。

まだ、びしょ濡れのまま床にいた。

ちょっと笑った。

そうやって何回も田中を眺めてはちょっと考え事をするために離れ、また田中のいるとこに戻るを繰り返した。

気づいたら3~4時間経ってた。

帰らないと。

田中にばいばいしたらぼーっとしてた。

また田中に会いたいなと思った。

以上。

「田中」というフクロウに会ってきた話。

すきなもので溢れろよ世。

タナカも自由。

おしまい。

2019.11